個体間で生殖が可能かどうかは種の判断で重視される。これは、種の特徴が世代を越えて維持されるものであること、古くは同種であれば子供を残せるはず、との素朴な判断があったためである。しかし、現在では有性生殖の理解が変化している。つまり有性生殖は、それぞれの個体の属する系統の間で互いの遺伝子を交換し合う行為であり、互いに交配可能であれば、いつかは実際にその遺伝子が交換される可能性がある。そのような関係で結びついた個体の集団は、同じ遺伝子プールを形成する。同一範囲の遺伝子集団を所有する限りは、形態的にもその同一性が保証されるはずと考えることができる。
しかし種における重要な概念の「有性生殖(による遺伝子交換)」そのものが真核生物に特有の概念である。例えば真性細菌では、有性生殖にあたる接合だけではなく、プラスミドの交換などを通して相当に遠縁でも遺伝情報の交換ができる。接合が知られていないものも極めて多く、相当遠縁の同士でも接合が起こることがある。また、外形は極めて変化に乏しいが、遺伝的には極めて多様なことが知られている。つまり、リンネの定義では、種を非常に細かく分けることも、非常におおざっぱに分けることもできてしまう。現在の細菌の種の定義は真核生物の分類と比較すると非常に大きい集団を指しているものと思われる。例えば細菌の種分類の基準として用いられることの多いDNA - DNA分子交雑法で再結合率が70%以上であることや、核酸塩基配列の相同性が90%程度などを用いた場合、動植物では目レベルの分類群が全て同一の種に属することになるであろう。種の定義・概念は、現在、22以上あり、研究が進むほどに増加している[1]。
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種の定義 [編集]
以下にはよりなじみの深い真核生物の分類、より厳密に言えば動物を中心に成り立つ種分類上の留意点について記述する。ここには真核生物でも植物 (Plant)、菌類 (Fungi)、原生生物 (Protista) などでは成立しない定義も多く含まれている。上述した「有性生殖の役割」も植物、菌類、原生生物では成立しないケースがある。これらでは有性生殖がほとんど認められなかったり、交配できない不和合接合型(クローンや親子兄弟など同じもしくは近い型の間では有性生殖が成立しない)が認められたりする例が多数ある。このため「交配可能かどうか」は種の分類に使いにくい場面が多い。専門家の間で完全に同意を得られるような種の定義はない。つまり、生物の集団をどうとらえるかは、研究者・分類群・研究の目的によって異なり、全て生物の分類に適用可能な種の概念は存在しないということである[2]。